食べるのが少しずつ上手になってきたと思ったら、むら食い、偏食が出てきて、悩むママも多いことでしょう。
できれば、好き嫌いなく、なんでも食べてもらいたいですね。悩みの種でもある偏食の原因と味覚を育てるポイントを紹介します。

こどもの偏食の原因は?
味覚の未発達によるもの
味には、「甘味」「旨味」「塩味」「酸味」「苦味」といった5つの基本の味があります。
舌の表面にある「味蕾(みらい)」と呼ばれる器官で味を感じとります。また、味はそれぞれの役割やサインでもあります。
甘味→エネルギー源である糖の存在を知らせる
塩味→体液のバランスに必要なミネラル分の存在を知らせる
酸味→腐敗していることを知らせる
苦味→毒の存在を知らせる
うま味→体をつくるのに必要なたんぱく質の存在を知らせる
こどもの味覚はまだ未発達で、酸味や苦味は経験によって、徐々に慣れ、これからおいしいと感じていく味です。なので、子どもは酸味や苦味な抵抗を示すのです。
味覚行動、警戒行動
味の刺激によって生じる行動を味覚行動と呼ばれ、それらは、生まれつき、身につけているものと、経験や学習、記憶によって獲得される後天的なものがあります。
初めて経験する食べ物や味、人参やピーマンなどのクセのある食べ物を食べた時は本能的に警戒行動が表れます。
また、初めて経験する食べ物、食べ慣れてないものに対しては、匂いをかいでみたり、少し口にして味わって安全性を確かめたりします。
初めての食べ物に嫌な顔をしたり、拒んだりするのは本能的な警戒行動の表れです。

偏食への対応策
子どもの偏食は、空腹の状態や体調、機嫌にも左右されます。食べ慣れないものをすぐに受け入れられない状態にあるというだけで、一時的なものであり、心配するようなことはありません。
•無理強いを避け、調理法や与え方を工夫します
•ご飯を食べないからといって、お菓子を与えるのはやめましょう
•友達と一緒に食事をする体験を試みましょう
•親など、周りの人が子どもの嫌がる食品をおいしそうに食べて見せます
•「〇〇を食べると体が強くなるよ」などの声かけをしましょう
•食事の時間はできるだけ楽しくなるように家族団らんを心がけましょう
•まずは一口ずつ、嫌がるものを食べることができたら、褒めましょう
食べ物の好き嫌いの形成
幼児期に繰り返し食べた食べ物の味や匂い、その時の情動が脳に保存されます
ヒトの脳は「古い脳」「新しい脳」に分けられ、3歳ごろまでに「古い脳」が発達し、その後、「新しい脳」がゆっくり発達していきます。「古い脳」は喜怒哀楽の感情とそれに伴う行動発現をさせるところです。匂いと味は生後すぐに働く原始的感覚で、「古い脳」を使っています。
幼児期に何を食べ、それがどんな匂いと味がしたのかは思い出としては残りませんが、繰り返し食べた食べ物の味や匂い、その時の情動は一体となって、「古い脳」に保存され、その後、成長とともに「新しい脳」へ移され、長期保存されるようになります。
味や匂いで、食事の場面を思い出したり、懐かしく思うのはこのためです。

味覚を育てるポイント
色々な味の食べ物を幅広く経験させましょう
子育てしているママは忙しく、子どもが食べるのを嫌がるものは避け、好きなものだけを与えがちです。また、親が嫌いなものは、食卓に上がりません。子どもの好き嫌いは遺伝的なものではなく、無意識のうちに親が決めてしまう場合が意外と多いのです。
旬の野菜や魚を使った料理、夏にはひんやりとした、口当たりがよい調理法、冬には心まで温まるような温かい料理など、おいしいと感じる工夫も大切ですね。
食べ物本来の味を感じることができるように、薄味にしましょう
色々な食べ物を幅広く食べさせても、濃い味付けでは、食べ物本来のおいしさを味わうことができません。できるだけ薄味にし、味付けに迷ったら、かつおだしを使いましょう。かつおだしの「うま味」は、くり返し味わうことでおいしさがわかるようになります。

最後に
幼児期の食事には、栄養を摂ること以外にも、心と体の基礎を形作る役割と影響力を持っています。味覚と食嗜好の形成、健康な体作り、生活習慣病予防の観点からも幼児期の食事は、とても大切です。
少しの工夫と心がけで、子どもの味覚を育てることができます。ぜひ取り入れていきましょう。


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